先日糖尿病内科で糖尿病教室を開催しました。テーマは失敗しない低糖質おやつと食品表示の読み方。その中でカロリー以外の食品表示の見方がわからないというご意見が多かったので、今回は食品表示の読み方についてまとめていきます。
さて、最近の食品のパッケージには「糖質オフ」「糖類ゼロ」「ノンシュガー」「ロカボ」など、血糖値が気になる方にとって気になる表示がたくさんあります。
でも、似たような言葉が多くて、
「糖質オフと糖類ゼロは何が違うの?」
「糖類ゼロなら血糖値は上がらない?」
「低糖質って書いてあれば安心?」
と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
血糖値が気になる方にぜひ習慣にしてほしいのは、パッケージの言葉だけで選ばず、栄養成分表示と原材料名をセットで見ることです。
今回は、ロカボマークの意味や、糖質オフ・糖類ゼロなどの表示の違い、そして食品表示を見るときのポイントをわかりやすくまとめます。
カロリーだけでなく、炭水化物と糖質も確認しましょう
食品を選ぶとき、まずカロリーを見ている方は多いと思います。
もちろん、カロリーの確認は大切です。
体重管理や食べ過ぎを防ぐためには、食品のエネルギー量を知ることも必要だからです。
ただ、血糖値が気になる方は、カロリーだけで判断せず、炭水化物と糖質もあわせて確認しましょう。
なぜなら、食後の血糖値に直接影響しやすいのは、カロリー全体ではなく、主に糖質だからです。
カロリーは、糖質・たんぱく質・脂質などを合わせたエネルギー量です。
そのため、同じ100kcalでも、砂糖の多いお菓子と、ナッツやチーズのような脂質・たんぱく質が多い食品では、食後血糖値への影響が変わります。
つまり、血糖値を意識して食品を選ぶときは、
「低カロリーだから安心」ではなく、「糖質がどれくらい入っているか」を見ることが大切です。
炭水化物は、主に次の2つに分けられます。
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維

糖質は血糖値を上げる主な栄養素です。
一方、食物繊維は血糖値を上げにくく、食後血糖値の上昇をゆるやかにする働きが期待できます。
栄養成分表示に「糖質」が書かれていない場合は、まず「炭水化物」の量を確認しましょう。
食物繊維が多くない食品では、炭水化物量と糖質量が近いこともあります。
「糖質」と「糖類」は同じではありません
ここが一番まぎらわしいポイントです。
糖質は、でんぷん、糖類、オリゴ糖、糖アルコールなどを含む広いグループです。
一方で、糖類は、砂糖、ぶどう糖、果糖、乳糖、麦芽糖など、糖質の中の一部です。

つまり、
糖質 > 糖類
という関係です。
そのため、糖類ゼロ=糖質ゼロではありません。
「糖類ゼロ」と書かれていても、糖類以外の糖質が含まれていることがあります。
血糖値が気になる方は「糖類」より「糖質」を確認
血糖値が気になる方が食品を選ぶときに大切なのは、「糖類」よりも「糖質全体」を確認することです。
パッケージには「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」「糖質オフ」「砂糖不使用」など、似たような言葉が並んでいます。
その中で「糖質ゼロ」は、糖質量が少ないことを確認しやすい表示です。
ただし、「ゼロ」と書いてあっても、完全に0gという意味ではない場合があります。
食品表示では、糖質や糖類などは、食品100gあたり、清涼飲料水等では100mlあたり0.5g未満であれば、栄養成分表示で「0」と表示できる量として示されています。
一方で、注意したいのが糖類ゼロです。
糖類は糖質の一部なので、糖類ゼロでも、でんぷん、オリゴ糖、還元麦芽糖、還元水あめなど、糖類以外の糖質が含まれていることがあります。
つまり、糖類ゼロ=血糖値に影響する糖質がゼロという意味ではありません。
次のように整理するとわかりやすいです。
| 表示 | 血糖値が気になる方の見方 |
|---|---|
| 糖質ゼロ | 糖質量が少ないと判断しやすい(糖質も糖類も少ない)。 |
| 糖類ゼロ・ノンシュガー・シュガーレス | 糖類は少ないが、糖類以外の糖質が入っていることがある |
| 糖質オフ・低糖質 | 糖質は減らされているが、ゼロではない。糖質量の確認が必要 |
| 糖類○%オフ・糖類○gオフ | 減っているのは糖類。糖質全体が少ないとは限らない |
| 砂糖不使用 | 砂糖を使っていないという意味。糖質が少ないとは限らない |
ここで大切なのは、表示の言葉を「よい・悪い」で判断するのではなく、意味を知って選ぶことです。
「糖類ゼロ」「糖質オフ」「砂糖不使用」は、それぞれ見ているポイントが違います。
違いを知っておくと、栄養成分表示や原材料名を見るときに、どこを確認すればよいかがわかりやすくなります。

「糖類ゼロ」は必ず原材料名を確認しましょう
パッケージに「糖類ゼロ」「ノンシュガー」「シュガーレス」と書かれていると、なんとなく安心してしまいますよね。
でも、血糖値が気になる方は、必ず栄養成分表示の炭水化物・糖質に加えて、原材料名も確認しましょう。
糖類ゼロでも、原材料に次のようなものが使われていることがあります。
- オリゴ糖
- 還元麦芽糖
- 還元水あめ
- でんぷん
- 小麦粉
- 米粉
これらは「糖類」ではなくても、糖質として血糖値に影響する可能性があります。
つまり、糖類ゼロは「血糖値に影響するものがゼロ」という意味ではありません。
原材料名は多い順に並んでいます
食品表示を見るときは、原材料名の順番にも注目しましょう。
原材料名は、基本的に使われている量が多いものから順番に表示されています。
たとえば、原材料の最初の方に、
- 小麦粉
- 砂糖
- 水あめ
- ぶどう糖果糖液糖
- でんぷん
- 米粉
などが書かれている場合は、糖質が多めの食品かもしれません。
一方で、
- 食物繊維
- おから粉
- アーモンドパウダー
- エリスリトール
- ラカンカ
- こんにゃく粉
などが使われている食品は、糖質を抑える工夫がされていることがあります。
ただし、原材料だけで判断するのではなく、最後は必ず栄養成分表示の糖質量まで確認しましょう。
ロカボマークとは?
ロカボマークは、一般社団法人 食・楽・健康協会が提唱する「おいしく楽しく適正糖質」という考え方に沿った食品につけられている目印です。
「ロカボ」は、英語の low carbohydrate(ローカーボハイドレート/低炭水化物) をもとにした言葉です。
ただし、一般的な「ローカーボ」や厳しい糖質制限とは少し違い、糖質をゼロにするのではなく、糖質量を適正にコントロールしながら食事を楽しむ考え方です。
食・楽・健康協会では、1食あたりの糖質量を20〜40g、間食は10g以下、1日の糖質量を70〜130gにすることを「適正糖質」として提唱しています。
ただし、これはすべての人が必ずこの糖質量にした方がいいというものではありません。
必要な糖質量は、年齢、体格、活動量、運動習慣、血糖値の状態、治療内容などによって変わります。
特に糖尿病で治療中の方や、薬を使用している方は、自己判断で糖質量を大きく減らすと低血糖などのリスクにつながる場合があります。
1食あたり・1日あたりの糖質量は、必ず主治医や管理栄養士に相談したうえで検討しましょう。

また、ロカボマークは国の食品表示基準ではなく、食・楽・健康協会による独自の基準・考え方に基づいたマークです。
ロカボマークがついている商品のメリットは、糖質量がわかりやすく表示されていることです。
通常の栄養成分表示では、商品によって糖質の表示がない場合もあります。
その点、ロカボマークがついている商品は糖質量を確認しやすく、血糖値が気になる方にとって商品選びの目安になります。
ただし、ロカボマークがついていても、食べる量が増えれば糖質量も増えます。
たとえば、1個あたり糖質5gのお菓子でも、3個食べれば糖質15gです。
大切なのは、ロカボマークがあるかどうかだけでなく、自分が実際に食べる量で糖質量を考えることです。
ロカボ糖質とは?
ロカボ糖質とは、一般社団法人 食・楽・健康協会の考え方に基づいた糖質表示です。
通常の栄養成分表示に書かれている「糖質」は、血糖値に影響しにくい甘味料なども含めて表示されることがあります。
一方、ロカボ糖質は、利用可能炭水化物を元に算出された糖質量です。食・楽・健康協会では、ロカボ糖質は「利用可能炭水化物」を元に算出したものと説明されています。
利用可能炭水化物とは、炭水化物の中でも、体内で消化・吸収され、エネルギー源として利用される成分です。文部科学省の食品成分表でも、利用可能炭水化物は、炭水化物のうちヒトの酵素により消化され、吸収され、代謝される成分として説明されています。
つまりロカボ糖質は、単に「炭水化物が何gあるか」ではなく、血糖値への影響を考えるうえで参考になる糖質量を見やすくした表示といえます。
低糖質食品では、エリスリトールなどの甘味料が使われていることがあります。
エリスリトールは糖質として表示されることがありますが、血糖値に影響しにくい甘味料です。
ちなみに、低糖質食品や家庭での調理に使われることの多いラカントSは、エリスリトールという甘味料と、羅漢果という中国原産の果実のエキスを合わせた甘味料です。ラカントS公式サイトでも、エリスリトールと羅漢果エキスを使用していると説明されています。
商品の表示によっては、
表示上の糖質量 − エリスリトール量 = 実質的な糖質量
のように考えられている場合があります。
このように、表示上の糖質量だけを見ると高く感じても、原材料や注記、ロカボ糖質の表示を見ることで、血糖値への影響を考えやすくなることがあります。
まだまだロカボ糖質が表示されている食品の数は多くありませんが、血糖値が気になる方にとっては、とても参考になる表示です。
ただし、ロカボ糖質が表示されていても、食べる量が増えれば糖質量も増えます。
反対に「糖類ゼロ」と書いてあっても、原材料を見ると血糖値に影響する糖質が含まれている場合もあります。
だからこそ、低糖質食品を選ぶときは、パッケージの言葉だけで判断せず、栄養成分表示・原材料名・実際に食べる量をセットで確認することが大切です。

食品表示で見るべき3つのポイント
1. 何あたりの表示か?実際の食べる量を見る
栄養成分表示には、
- 100gあたり
- 100mlあたり
- 1個あたり
- 1袋あたり
- 1食あたり
など、いろいろな表示があります。
大切なのは、自分が実際に食べる量で考えることです。
「100gあたり糖質10g」と書かれていても、150g食べれば糖質は15gです。
「1個あたり糖質5g」でも、3個食べれば糖質15gになります。

2. まずは炭水化物・糖質量を見る
血糖値が気になる方は、カロリーだけでなく、まず炭水化物と糖質を見ましょう。
糖質と食物繊維が分けて書かれている商品は、より選びやすいです。
食物繊維が多い食品は、血糖値の上昇をゆるやかにする工夫がされていることもあります。
3. 原材料名を見る
栄養成分表示で糖質量を確認したら、次に原材料名も見ましょう。
「糖類ゼロ」と書かれていても、オリゴ糖、還元麦芽糖、でんぷんなどが入っていれば、血糖値に影響する可能性があります。
原材料名は多い順に並んでいるので、最初の方に何が書かれているかを見ると、その食品の特徴がわかりやすくなります。
低糖質食品を選ぶときのチェックリスト
低糖質食品や糖質オフ食品を選ぶときは、次の3つを確認してみましょう。
- 栄養成分表示の「何あたり」かを見る
- 炭水化物・糖質・食物繊維を見る
- 原材料名を見る
特にお菓子は、「1個あたり」は少なく見えても、何個も食べると糖質量が増えやすい食品です。
「全部食べたら糖質何gかな?」
と考えるクセをつけることが、血糖値ケアにつながります。
まとめ:食品は「栄養成分表示」と「原材料」をセットで見る
糖質オフ食品や低糖質お菓子は、上手に使えば食事の楽しみを広げてくれます。
でも、パッケージの言葉だけで選ぶと、思ったより糖質をとってしまうこともあります。
覚えておきたいポイントはこの3つです。
- 糖類ゼロは、糖質ゼロとは限らない
- 原材料名も確認し、糖類以外の糖質が含まれていないかを見る
- 必ず、自分が実際に食べる量で糖質量を考える
糖質を減らせば減らすほどよい、というわけではありません。
大切なのは、自分に合った糖質量を知り、表示を見て選べるようになることです。
糖尿病で治療中の方や血糖値を下げる薬を使っている方は、自己判断で糖質を大きく減らすと、低血糖などにつながることがあります。「1食、1日でどのくらいの糖質量が適正量なのか」は、主治医や管理栄養士に相談しながら決めていきましょう。
まずは今日買う食品から、栄養成分表示と原材料名を見る習慣をつけてみましょう。
カロリーだけでなく、炭水化物(糖質・食物繊維)・原材料まで見られるようになると、血糖値を意識した食品選びがぐっとラクになります。
参考文献
- 消費者庁「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」
- 消費者庁「食品表示ガイド」
- 一般社団法人 食・楽・健康協会「ロカボとは」
- 一般社団法人 食・楽・健康協会「ロカボと糖質」
- 文部科学省「日本食品標準成分表」
- サラヤ株式会社「ラカントS顆粒 製品情報」

