血糖値の管理は、健康維持や糖尿病予防の鍵を握る重要な要素の一つです。しかし、従来の指を穿刺して図る血糖値測定方法は手間がかかり、継続が難しいものでした。そんな中、注目を集めているのが「フリースタイルリブレ」です。これは、血糖値をリアルタイムで簡単に管理できる優れたツールです。本記事では、フリースタイルリブレの特徴や使い方、糖尿病予防における具体的な活用法をご紹介します。
目次
1.フリースタイルリブレとは?
2.従来の血糖値測定方法との違い
3.フリースタイルリブレの特徴
4.センサーの取り付けと専用アプリの利用
5.フリースタイルリブレのメリットとデメリット
6.まとめ:健康管理にフリースタイルリブレを取り入れよう
フリースタイルリブレとは?
フリースタイルリブレは、アボット社が開発した血糖値測定デバイスです。皮膚に貼り付ける五百円玉ぐらいの小型のセンサーを上腕部に貼り付け、24時間リアルタイムで血糖値をモニタリングします。このセンサーは、血液ではなく「間質間液」と呼ばれる体液のグルコースレベル(ブドウ糖の量)を測定します。間質間液は細胞と血管の間に存在する液体で、そのグルコースレベルは血糖値と非常に密接に関連しています。
従来の血糖値測定方法との違い
従来の血糖値測定では、指先を針で刺して血液を採取する必要がありました。この方法は痛みやストレスが伴い、頻繁に測定するのが難しいものでした。一方、フリースタイルリブレには以下のような特徴があります。
フリースタイルリブレの特徴
・痛みなし:針を指に刺す必要がない。センサーを上腕につけるだけ。
・データが豊富:1日の血糖値変動を24時間記録可能。14日連続で計測できる。
・手間が少ない:センサーを装着するだけで簡単に測定。
・専用アプリと連携:スマートフォンで血糖値の推移をグラフ化して確認可能。
・リアルタイム測定:血糖値の変動をその場で把握できる。
このように、フリースタイルリブレは従来の方法に比べて負担が少なく、日常生活の中で無理なく血糖値管理ができます。
フリースタイルリブレを使うと
●糖尿病予防の第一歩になる
糖尿病は、空腹時血糖値が正常であっても、食後の血糖値が急激に上がり続けることで発症リスクが増します。フリースタイルリブレを使うと、日々の食後の血糖値の動きを細かく追跡し、隠れた高血糖を早期に発見することが可能です。これにより、糖尿病のリスクを早期に把握し、適切な予防策を講じることができます。
●食事や生活習慣の影響を可視化できる
フリースタイルリブレを使用することで、特定の食事が血糖値にどのような影響を与えるかをリアルタイムで確認できます。例えば、おにぎりだけを食べる食後の血糖値と、同じカロリーでもおにぎりに鶏肉を合わせた食後では、血糖値の上昇具合が異なることを確認できます。その結果を基に、以下のような改善策を実践できます。
✅野菜を先に食べる「ベジファースト」や、たんぱく質を先に食べる「たんぱく質ファースト」で食後血糖値が変わり、食べる順番により血糖値の急上昇を防ぐ。
✅同じ炭水化物の量でも食べ合わせや食べ方によって食後血糖値の上り方が違うのを可視化して、炭水化物を食べても食後血糖値を急上昇させない工夫を取り入れる事ができる。
日常生活の改善につなげられる
フリースタイルリブレを使うと、運動や睡眠が血糖値に与える影響も確認できます。例えば、食後に軽い運動を取り入れると血糖値が安定することがわかるなど、日々の行動が改善につながります。
✅食後に運動を取り入れた時と食後すぐうたたねしてしまった場合の食後血糖値をみて、食後運動するきっかけになる。
✅深夜の血糖値を知る事で、寝る前の生活習慣や夕食の内容を見直しができる。
センサーの取り付け方法
①準備:センサーと専用の装着機を用意します。
②装着:上腕の裏側にセンサーを貼り付け(写真)、装着機を使って固定します。
③スキャン:スマートフォンまたは専用リーダーを使ってセンサーをスキャンし、測定開始。
※詳細はアボット社のホームページをご覧ください。動画での解説もあり大変わかりやすいです。
専用アプリの活用方法
フリースタイルリブレは専用アプリ「FreeStyle LibreLink(リブレリンク)」と連携します。このアプリを使うことで、以下の情報を簡単に確認できます。
・リアルタイムの血糖値(正確にはグルコース値)。
・過去24時間の血糖値の推移。深夜も測定。
・血糖値が目標範囲内に収まった時間(タイム・イン・レンジ)。
・データの活用例血糖値が急上昇したタイミングを特定し、食事内容を見直す。
・運動後の血糖値の変動を確認し、運動の効果を最大化する。
フリースタイルリブレのメリットと注意点
・簡単で痛みがない:指先採血が不要でストレスフリー。
・血糖値の変動が見える化:グラフで視覚的に確認可能。
・早期リスク発見が可能:糖尿病予備軍や食後高血糖の兆候を見逃さない。
フリースタイルリブレのデメリットと注意点
・コスト:センサー14日継続測定で取り換える。センサーはアマゾンや楽天で購入が可能です。1センサーあたり8000円前後で購入できます。
・精度の問題:特に測定初期や体温の変化が激しい場合やセンサーがはがれかけている時など、測定値の精度が若干低下することが報告されています。
・リブレの測定値は血液中の値と若干異なる場合があるため、参考値として活用すること。
・皮膚トラブル:センサーを貼ることによるアレルギー反応や皮膚の刺激が生じることがあります。
まとめ:健康管理に役立つフリースタイルリブレ
フリースタイルリブレは、血糖値管理を簡単かつ効率的に行えるデバイスです。糖尿病予防だけでなく、日常生活の改善や健康維持にも役立ちます。食事や運動が血糖値に与える影響をリアルタイムで把握し、生活習慣を見直すきっかけにもなります。
※糖尿病のある方、治療中の方は主治医にフリースタイルリブレの活用について相談してみてください。糖尿病のある方でインスリン治療中の方は保険が適応されることがあります。
服薬のみの方は保険適応になりませんが、自費で取り扱っている糖尿病専門内科も多いのでご相談ください。
※健康管理目的に使用する場合は、使用方法について事前に情報収集し、専門家に相談の上ご使用いただくのが望ましいです。
【参考文献】
FreeStyleリブレ・アボット糖尿病関連サイト ホームページ